タンクレストイレは、見た目のスッキリしたデザインや節水効果、掃除のしやすさなどの理由から、多くの家庭で導入が進んでいます。しかし、設置する際にはいくつかの注意点があり、事前に確認しなければ思わぬトラブルにつながることもあります。 まず、タンクレストイレの設置を検討する際に最も重要なのが「水圧の確認」です。タンク付きトイレの場合、水が一度タンクにためられるため、水圧が低くても問題なく使用できます。しかし、タンクレストイレは水道の水圧を直接利用して排水する仕組みのため、水圧が不足していると流れが悪くなり、十分な洗浄力を発揮できなくなることがあります。特に、マンションの高層階や古い住宅では水圧が低いことがあるため、導入前に水圧を測定し、メーカーが推奨する基準を満たしているかを確認することが大切です。もし水圧が不足している場合は、ブースター(増圧ポンプ)を設置することで対応できる場合もあります。 次に、「停電時の使用可否」も重要なポイントです。タンク付きトイレは、タンク内にためた水を重力で流すため、停電時でも手動で水を流すことが可能ですが、タンクレストイレは多くのモデルで電動ポンプを使用しており、停電すると使用できなくなることがあります。特に、地震や台風などの災害時には停電が長引く可能性があるため、非常時に備えて手動で流せる機能があるかどうかを確認しておくことが重要です。 また、「設置スペースの確認」も必要です。タンクレストイレはコンパクトな設計が特徴ですが、便器自体のサイズや形状によっては、従来のトイレと比べて奥行きが長くなる場合があります。そのため、トイレの空間に十分なスペースが確保できるかどうか、事前に寸法を測って確認しておくことが重要です。また、既存のトイレからタンクレストイレに交換する場合、給排水の配管位置が合わないこともあるため、工事費用が高くなる可能性があります。