トイレリフォームを内装込みで計画する際、そのきっかけは設備の老朽化やデザインの刷新であることが多いかもしれません。しかし、そこに「将来への備え」という視点を加えることで、リフォームの価値はさらに深まります。特に、家族の誰もが安全で快適に使い続けられる空間を目指す「バリアフリー」の考え方は、これからのトイレリフォームにおいて欠かすことのできない重要なテーマです。 バリアフリーリフォームと聞くと、車椅子での利用を想定した大がかりな改修をイメージするかもしれませんが、その本質は、今の暮らしをより安全にし、将来起こりうる身体の変化にも柔軟に対応できる空間をあらかじめ作っておくことにあります。例えば、リフォームの際に手すりを一本取り付けるだけでも、それは立派なバリアフリー化の第一歩です。立ち座りの動作は、年齢を重ねると共に膝や腰への負担が大きくなります。壁にしっかりと固定された手すりがあるだけで、その負担は劇的に軽減され、転倒のリスクを減らすことができます。内装工事で壁紙を張り替えるタイミングであれば、壁の内部に補強用の下地を入れる作業も比較的容易に行えるため、将来いつでも好きな場所に手すりを追加できる準備をしておくのも賢明です。 床材の選択も、安全性を高める上で非常に重要です。デザイン性だけで選ぶのではなく、滑りにくい表面加工が施された床材を選ぶことをお勧めします。特に、濡れた足で入る可能性もあるトイレでは、滑りやすい床は転倒事故の大きな原因となります。また、車椅子での利用を将来的に少しでも想定するのであれば、開き戸を引き戸に変更するリフォームも検討に値します。引き戸は開閉時に体の移動が少なく、車椅子からでも操作がしやすいため、出入りの負担を大きく減らすことができます。 内装込みのトイレリフォームは、単に空間を美しくするだけでなく、家族の暮らしの安全性を高める絶好の機会でもあります。今はまだ必要ないと感じていても、十年後、二十年後の家族の姿を想像しながら計画を立てること。その少しの配慮が、家族全員が長く安心して暮らせる住まいづくりへと繋がっていくのです。
内装リフォームで考えるトイレのバリアフリー